はじめに
本文は「放射線治療」について「どんな治療なのか」といった疑間をできるだけわかりやすく説明したものです。毎日の治療は熱くも痛くもありませんが、放射線治療は決められた回数の治療を終えて、はじめて一定の効果がでるもので、ひとによって異なりますが約1~2カ月の治療期間が必要です。治療中わからないことや心配なことがありましたら、遠慮せずになんでも医師や技師、看護婦に尋ねてください。
「放射線=恐ろしいもの」というまちがった理解をしていませんか?放射線は正しく使えば、少ない副作用で病気の治療に効果を上げることができます。まずはじめに放射線についての正しい知識を身につけましょう。
放射線とは
放射線・放射線治療の歴史
放射線は1895年にレントゲン博士によって発見されましたが、その翌年にはすでに最初の放射線治療が行われています。当時使用された放射線はエネルギーが弱く、からだの表面しか治療できないものでしたが、現在では治療部位の深さに応じて十分なエネルギーの放射線を発生する装置が開発され、からだのあらゆる部位を治療することが可能になりました。また、それと同時に放射線の照準の技術も大きく進歩し、必要な場所に必要な量の放射線を正確に照射することができるようになっています。
放射線の種類
病気の治療に使われる放射線のうち主なものは「電子線」「エックス線」「ガンマ線」の3種類です。
- 「電子線」は文字どおりで電子の粒の流れです。他の放射線と違って電子線はからだの中で、ある一定の深さより奥には入らない性質をもっていますので、皮膚などのからだの浅い部分を治療するのによく使われます。
- 「エックス線」は主にライナックという装置で発生される放射線です。エックス線はからだを通過しますので、大きいエネルギーのエックス線は脳や肺、骨など深いところの病気を治療するのに使われ、小さいエネルギーのエックス線はくび、のどや乳房の治療に使われます。
- 「ガンマ線」はコバルト60という放射性同位元素から出る放射線で、小さいエネルギーのエックス線と同じように使われていましたが、現在では、全国的にコバルト治療装置を使っているところはなくなりつつあります。当院でもコバルト治療装置は使っておりません。
以上の3種類の放射線はどれも病気に対する効果は同じです。
どうして放射線で病気を治せるのでしょうか?
放射線は目に見えず、からだにあたっても何も感じませんが、からだの中の細胞を殺す作用をもっています。正常な細胞は放射線によってダメージを受けてもそのダメージから回復する力をもっていますが、これに対し、病気の細胞はダメージから回復する力が小さいのです。この回復の差は放射線を少しずつ毎日に分けてかけることによりさらに大きな差となり、放射線でダメージを受けた細胞のうち正常な細胞だけが生き残ることになるのです。
放射線照射(外部照射と内部照射)
放射線治療には大きく分けてからだの外から放射線をあてる外部照射と、からだの中に放射線の出る物質を入れて、からだの中から放射線をあてる内部照射があります。
- 外部照射とは
放射線治療を受ける患者さんのほとんどは、外部照射を受けることになります。からだの外から放射線をからだに傷をつけず、痛みもなくあてることができます。前述のライナックで発生するX線を使いますが、治療する部位の深さによってあなたに最適なエネルギーのX線が選ばれます。 - 内部照射とは
内部照射では、直接患部に放射線を発生する針等を入れる場合もありますし、管を入れてその後から放射線の線源を入れる場合や放射性物質を飲む場合もあります。いずれの場合でも、入院して治療を受けていただきますので、入院後に改めて詳しく説明させていただきます。
放射線治療スタッフ
放射線治療は放射線治療医、放射線治療技師、そして看護婦が共同して行います。
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- 放射線治療医あなたのからだの診察所見や様々の検査結果をもとに、放射線治療の方針を決定します。定期的にあなたを診察し、必要に応じて処置を行います。
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- 放射線治療技師放射線治療方針に従って放射線を照射するのが放射線治療技師の役割です。患部だけに正確に放射線を照射します。
- 看護婦治療期間を通してあなたのお世話をします。医師に聞きにくいことでも、なんなりとご相談下さい。